去年の話だけど、連日降りしきる大雪の中テントサウナをしてきた。
憧れていたシチュエーションで盛大に雪ダイブをかましてきたんだけど、実際にやってみて、良かった点だけでなく苦労した点もたくさんあった。
1年越しではあるけど、どうせなら思い出として記憶に留めるより、記事という形で記録しておきたい。
念願の雪ダイブを実現したいと思っているテントサウナユーザーはぜひ参考にしてほしい。
雪ダイブは全サウナーの憧れ
引用元:TV TOKYO
サウナ好きなら一度は夢見たことがある雪ダイブ。
アツアツのサウナを出てすぐさまフカフカの雪に体を包み、瞬間冷却する。普段の水風呂とは違うととのい方と、冬しか味わえないプレミア体験が、狂ったサウナ好きの妄想を駆り立てる。
かくいう俺もドラマ「サ道」で、原田泰造が北海道のサウナで雪ダイブしているのを見てからというもの、何年も憧れを抱いていた。
今回ついに長年の夢が叶うということで、12月以降、世間の大人が死んだような目で雪かきに駆り出される中、俺の心は静かにおどっていた。
雪ダイブには新雪が必要
前提として、ドラマのような雪ダイブを実現するには、降り積もったばかりの柔らかい新雪がないと話にならない。
俺が過去冬にやった時は、溶け残ったカチカチの雪はあったんだけど、フカフカの新雪がなくて思ったような雪ダイブが叶わなかったんだ。
過去の反省を踏まえて、今回は天気予報をチェックしつつ、2日以上雪が降り続いている日に決行した。
雪ダイブを検討している人は、雪の日、もしくはしっかり雪が降った日の翌日にやるのがおすすめ。降ってから1日以上経過した雪は固い。まるでコンクリの上に飛び込むようなもん。
ちなみに北陸〜東北の日本海側は12月から2月まで、ほとんどの日に雪が降る。
【水風呂シングル】テントサウナは冬がベストシーズンである5つの理由【雪ダイブ】
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テントサウナ当日は大雪
天気予報をチェックしてのぞんだテントサウナの日は、案の定雪が降りまくっていた。
むしろ降りすぎじゃねってぐらいに積もっていて、道中スリップする不安しかなかったけど、そこはさすが4WD車。俺の愛車エブリィワゴンが火を吹いて、なんなく雪道を走破できた。
多分4WD車じゃなければたどり着けなかったんじゃないかと思う。やっぱ雪国は4WD必須だわ。
誰もいない河原でテントサウナ開始
夏〜秋にはたくさんのファミリーやキャンパーでにぎわうキャンプ場も、この日は人っ子一人いなかった。SF映画の設定によくある、人類滅亡後の世界みたいな雰囲気。幻想的ではある。
ちなみにまだまだ雪は降り続けていて、時間が経つほど積雪の高さは増していた。
とはいえ、人がいないのは都合がいい。テントサウナは普通のキャンプに比べて、場所をとる上に、煙を撒き散らすから周りの人は少なければ少ないほどいい。
膝上まで積もった雪の上で作業をするのはかなり骨が折れたけど、いつもの3倍くらい時間をかけて、なんとか設営を完了させた。
テントサウナスポットの条件は以下の記事で詳しく解説している。
【キャンプ場より野営地】テントサウナができる場所に必須な5つの条件
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着替えはサウナの中
サウナに入る前、もちろん海パンに着替えるんだけど、サウナ用テントの中で着替えて脱いだ服はビニール袋に入れ、テントサウナが終わるまでテントの隅っこに置いておくのがおすすめ。
さすがに外で着替えるのはツラい。
サウナがあたたまるのに90分かかった
雪とか風とかいろいろ原因はあると思うんだけど、テントサウナの室温が70度を超えるまで約90分かかった。
普通のサウナだと70度じゃぬるいだろって思うかもしれないが、テントサウナの70度はそこまでぬるくない。
もちろん、めちゃくちゃアツい!ってほどではないけど、ロウリュを駆使すれば十分汗が吹き出るし、10分以上入っていれば早く水風呂に入りたいと思えるほどにはあつい。
テントサウナの温度がなかなか上がらない時は以下の記事を参考にしてほしい。
テントサウナの温度が上がらない5つの原因と対策法【熱くなれよ】
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雪でロウリュしてみた
今回はせっかくだから水ではなく、雪を石に乗っけてスノーロウリュにしてみた。
雪がゆっくり溶けながら、少しずつ蒸気が発生するから、ジワジワと熱くなっていく感じ。
水でロウリュするより長い時間をかけて体感温度が上昇していくから、いつもの殺人的なロウリュと違ってやさしい。
何回かロウリュして蒸されていたら、外では雪が降りしきっていることを完全に忘れるぐらい体から汗が吹き出していた。早く雪に埋もれたい。
雪ダイブは超冷たい
サウナに入り体の芯まであたたまったら、俺は勢いよくテントのチャックを開いて、近くにあったフカフカの雪の塊へダイブした。
めっちゃ冷たい。
フカフカの雪は超気持ちよかった。初めての雪ダイブに感動した俺は10秒ぐらい固まっていた。
うつ伏せで飛び込んだ後、転がったりしてみた。
で、雪に飛び込んでみてはじめて気づいたんだけど、水風呂と違い雪ダイブは30秒ぐらいしか耐えられない。雪に触れている部分がすぐに「冷たい」から「痛い」に変わるんだ。
短時間しか氷を手で持っていられないのと同じで、生身で雪に埋もれていられる時間はかなり短い。多分頑張っても1分。それ以上は凍傷になると思う。
それに「サウナで凍傷」って多分誰にも理解してもらえない。
雪ダイブの映像は下記TikTokにアップしている。
@chiaki.musaretai @mutation19 への返信 雪ダイブもしたで? #テントサウナ #雪ダイブ #アウトドア部 #キャンプ部 ♬ Hakujitsu - King Gnu
雪ダイブは体の表面だけが冷やされる
憧れだった雪ダイブをして感じたのは、雪ダイブは体をしっかり冷やせないってことだった。
水風呂だったら、いわゆる羽衣ができるから、自分の鼓動がゆっくりになるまでじっくり浸かっていられる。
だけど雪の中では羽衣なんてできない。じっくり冷やされたいと思っても、皮膚表面が先に痛くなって悲鳴を上げるから、のんきに体をクールダウンさせる暇がなかった。
結果、雪にダイブしても体の表面だけが冷たくなって、鼓動は速いまま。水風呂のように体の中まで冷やしたっていう感覚にはなれなかった。
大雪の中で川にも入ってみた
雪ダイブをした後は、目の前で流れている川にも入ってみた。
水温は測ってないけど、雪解け水が流れ込んでいるから1〜3度ぐらいだと思う。
雪景色の中、天然の水風呂に入るなんてまるでフィンランドの湖畔に建つサウナ小屋みたいだ。
俺は下手すると雪よりよっぽど冷たいんじゃないかと、恐る恐る川に飛び込んだ。
すると意外にも外気よりあたたかく感じて拍子抜けしてしまった。この日は若干吹雪いていたから、風の当たらない水の中のほうが体感温度が高かったんだ。
ちなみに吹雪いてる中で、外気浴はできても1分が限度。もはやサウナで暖をとる状態。
川に入った時の映像は下記TikTokにアップしている。
@chiaki.musaretai 雪が降る中でテントサウナしてきた#平和な日常 #アウトドア部 #キャンプ部 #雪 #北の国から #テントサウナ ♬ 北の国から'93 - さだまさし
水風呂ってすばらしい
今回ずっと憧れていた雪ダイブを実際にやってみて、俺は水風呂のほうが好きだなと思った。
水風呂に入る目的が体を冷やすことである以上、雪では皮膚表面しか冷やせないから、少し物足りなさを感じた。現に雪ダイブではととのえなかった。
もし水風呂と雪ダイブ、どちらかしか選べないなら俺は水風呂を選ぶ。
雪ダイブは非日常体験
そもそも雪ダイブに求めるべきは、体を冷やす本来の目的よりも非日常体験にあると思う。
アツアツの体でフカフカの冷たい雪に飛び込むなんて、普通に生きてたら絶対にできない経験。これこそが非日常なんだ。
おそらくサウナ好きの中でも雪ダイブの経験者なんて1%以下だろう。
雪ダイブは基本的に冬の雪国でしか実現しないから、そもそも多くの人にはその環境が手に入らない。
もしあなたがテントサウナを持っているなら、この冬どこかの雪国で絶対に挑戦してみるべき。
雪の中でテントサウナをする時の注意点
ここからは実際に俺が感じた、雪の中でテントサウナをする時の注意点を解説する。それが以下。
- 長靴と防水手袋が必須
- 荷物は1箇所に固めて高く積む
- テント設営前に除雪しておく
- 明るい内に撤収しろ
長靴と防水手袋が必須
雪ダイブができるくらい積雪があるなら、長靴を履かないと足が死ぬ。
雪に触れずにテントやストーブを組み立てるのは不可能だから、普通の軍手じゃ濡れて指先が死ぬ。
長靴は鮮魚市場の魚屋さんが履いてるゴム長靴だと足先が冷えるから、中がモコモコになってるやつがおすすめ。
デザイン的に街での利用も可能。下の防寒長靴を俺は通勤でも使っていた。
手袋はウィンタースポーツ用だとぶ厚くて作業がしにくいから、軍手の上に大きめの耐油ゴム手袋を重ねるのがおすすめ。ゴム手袋じゃ冷たいと思うかもしれないけど、足と違って、手は常に雪に触れているわけじゃないから、作業中そこまで冷たくならない。
見た目ダサいけどゴム手袋なら安く購入できる。というかテントサウナの設営中に見た目を気にする必要はない。
荷物は1箇所に固めて高く積む
テントサウナ中も雪が降り続いている場合、いつのまにか周りに置いておいた荷物が雪に埋もれてどこに置いたかわからなくなってしまう。
ペグとかその辺に置いといたら、1分後には消えてる。雪国の降雪はマジでそんなレベル。消えたら春になるまで出てこない。
そこで雪中での荷物の紛失を防ぐためには、荷物を全部1箇所にまとめ、できるだけ重ねて高く積み上げるのが重要。
高さがあれば多少積もっても、姿がなくなるくらい完全に埋もれるまで時間がかかるし、一箇所にまとめておくことで、撤収の時間を短縮できる。
もし荷物を重ねても高さが出せない場合は、木の棒とか棒状の物を立て掛けておくだけでも置き場所の目印になる。とにかく使える物は何でも使おう。
テント設営前に除雪しておく
テントを張った時、地面に雪がたくさん残っていると、テント内が冷却されてなかなか温度が上がらない。
だから、テントを設置する部分の地面だけはしっかり除雪しておくのがおすすめ。除雪するかしないかで、テント内をあたためる時間が30分以上変わってくる。
除雪にはスコップでもいいんだけど、雪国の人が車の上に積もった雪を下ろす「スノーブラシ」が使える。
新雪ならスノーブラシのヘラ部分で除雪可能。使い終わったら短くできる伸縮タイプがおすすめ。
明るい内に撤収しろ
雪が降っている状態では視界がとにかく悪い。
雪が透明じゃないから当然ではあるんだけど、そんな状態で日が暮れてしまえば、たとえライトを使っても普段より光が届かないから、作業は困難を極めることになる。
落とし物なんて落とした瞬間に雪の中だから、日が暮れた後ではまず見つからない。
俺は普段のテントサウナだと日没ギリギリまでやることが多いんだけど、この日ばかりは15時に撤収作業を開始した。
冬の曇っている日はただでさえ暗くなるのが早い上に、山奥の河原なんかは日光が遮られるから、できるだけ早めの撤収をおすすめする。
雪ダイブへの憧れと現実
あんなに夢見ていた雪ダイブだったのに、実際やってみると水風呂の方が気持ちいいという不思議な結論になった。
雪の中でするテントサウナは正直かなり大変だし、初心者にはおすすめできないけど、やる価値はある。
なぜなら雪ダイブをしたことがないままだったら、きっと水風呂より最高に気持ちいいハズと、いまだに憧れと幻想を抱いていたに違いないからだ。
憧れや幻想なんてさっさと消化して次のステップに進んだほうがいい。残しておいても妄想が膨らむだけで時間の無駄。
だからもし昔の俺と同じように雪ダイブに憧れているなら、ぜひ挑戦して俺と同じく体の表面だけが冷やされる感覚を味わってみてほしい。
雪ダイブによって水風呂の素晴らしさがきっとわかるだろう。検討を祈る。
テントサウナ購入前の注意点は以下の記事で詳しく解説している。
【テントサウナ購入前に知っておきたい注意点】ご利用は計画的に
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