前回、低コストでテントサウナを自作する方法について解説したんだけど、実際の使用感までは書ききれなかった。
ということで今回は、自作テントサウナを実際に使ってみた感想についてまとめた。
かなり詳しく、そして正直な感想を書いているのでこれからテントサウナを自作しようと考えている人は参考にしてほしい。
事前に用意した消耗品
テントサウナをする際、毎回必要になる消耗品が以下。全てホームセンターで購入した。
- 焚き付け用の薪
- 薪(広葉樹)
- お茶パック(ロウリュ用)
※お茶パックはロウリュに使うアロマ代わりだから、要らない人は無視してOK
これ以外にテントサウナで役立つ便利グッズについても別の記事で解説しているので、よかったら合わせてよんでほしい。
焚き付け用の薪
薪に着火するための薪。
通常の薪はサイズが大きいから着火するのが難しいんだけど、焚き付け用の薪は、普通の薪より細いから新聞紙などを使えば簡単に着火できる。
ホームセンターで500円程度。
薪(広葉樹)
一般的な薪には広葉樹(ブナ・サクラ等)と針葉樹(スギ・ヒノキ等)がある。
それぞれのざっくりとした特徴は以下の通り。
・着火が難しい
・重い
・値段が高い
・着火が簡単
・軽い
・値段が安い
広葉樹は着火しづらいが、火持ちがいい。針葉樹はその逆。
なので着火には焚き付け用の薪(針葉樹)を使って、メインの薪は広葉樹を使うのがベストな組み合わせなんだ。
広葉樹の方が取り扱っているお店が少ないけど、大型のホームセンターならたいてい売っているから近所のカーマやコメリのアウトドアコーナーを見てみてほしい。
だいたい広葉樹が800〜1,000円、針葉樹が600〜800円で売られている。
ただし、できればネットで事前に買っておきたい。理由は単純に安い上に時短になるから。
俺は今回急遽計画したので、ホームセンターで購入した。
お茶パック
ロウリュ用の水はアロマオイルを使うのが一般的だけど、俺はよくお茶を使っている。
これは名古屋の超有名サウナ「ウェルビー今池」から影響を受けている。
ウェルビー今池にある「から風呂」というサウナで緑茶ロウリュをやっていて、その香ばしい香りに完全に取り憑かれてしまった。
そこで迷わず、今回はお茶パックを採用した。それにアロマオイルよりお茶パックの方が断然安い。
最近はジャスミン茶ロウリュが自分中でトレンドになっている。
テントサウナ開始
今回、製作を手伝ってもらった友人と2人で挑むことになった。
時期は11月。場所は過去の記事で紹介した岐阜県テントサウナの聖地、美濃橋でやることにした。
上の写真は試運転の様子。
【持ち込み】岐阜県でテントサウナができる場所おすすめ2選【無料】
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ストーブに火を入れる
まずは焚き付け用の薪を使い、薪ストーブの中で惜しみなく薪を燃やしていく。
当たり前のことだけど、煙突からちゃんと煙が出ると感動する。
耐熱シートもちゃんと機能してくれていて、テントが燃えたり溶けているような様子はない。
着火直後は煙がすごいけど、火が安定してきたら煙も落ち着いてくる。テントの中が完全に暖まるまで1時間ぐらいかかった。
テント内を暖めている間、BBQでお腹を満たし、中の様子を見てみると・・・
ちゃんと熱いやん!
テントの中は俺たちが求めていたフィンランドだった。
フィンランドに行ったことはない。
いざサウナに入る
十分テント内が暖まったら水着になって中に入る。
体感60〜70度ぐらいか。うん、悪くないやん。
本場フィンランドのサウナも60度くらいって言うしな。
90度超えの銭湯サウナに比べたら熱さは少し物足りないけど、普通に汗をかける温度だったから全然許容範囲。
なにしろ自分たちで作りあげたっていうフィルターがかかってる。
ロウリュをする前だから乾燥している。
念願のロウリュ!
自分たちで作り上げたテントサウナで、待ちに待ったセルフロウリュ。この為に作ったといっても過言ではない。
お茶パックが大量に沈められたバケツの水をすくい、意を決してサウナストーンにぶっかけた。
ジュウウウゥゥゥ
サウナストーンから心地良い鳴き声が勢いよく響き、蒸気が発生する。
うおおおおお!お茶の香り最高!
熱い!熱い!
一番感動した瞬間だった。
この瞬間、俺たちはサウナを作ったんだっていう達成感に浸りまくったんだ。
そう、ここまでは良かった・・・
一気に温度が下がった
ロウリュで気分も体感温度も上昇した俺たちだったんだけど、ロウリュの効果が切れて再びサウナストーンに水をかけると・・・
あれ、なんかぬるくなってない?
俺たちは気づいた。
サウナストーンが鳴かない・・・
発せられるのはビチャビチャと悲しい泣き声。
そう、1回目のロウリュによってサウナストーンが冷めてしまったんだ。
サウナストーンが冷めるということは、熱源が大きく失われたということなので、サウナ内の温度も当然下がっている。
よくよく考えると、1回目のロウリュの時も水を蒸発させていたのはサウナストーンじゃなくて、ストーブ本体の天板部分だったんだ。
この時、体感だけど50度ぐらいだったと思う。湿度の低い50度は正直かなりぬるい。20分以上入らないとしっかり汗がかけないコンディションだ。
川水風呂は最高
何とも言えない気分になってしまった俺たちだったが、最初のロウリュで暖まった体が冷めないうちに清流、長良川に意を決してダイブした。
めちゃくちゃ冷たい!最高!
やっぱり川は、水が常に動いているから実際の水温より冷たく感じる。実際の水温も後で測ったらシングル(一桁)だった。
冷たすぎてすぐに手足が痺れてくる。30秒も浸かっていられなかった笑
冬の川の冷たさはサウナ施設では味わえない、テントサウナの醍醐味だ。
【水風呂シングル】テントサウナは冬がベストシーズンである5つの理由【雪ダイブ】
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至高のととのいへ
川から上がった時点であまみがすごかった。フラフラになりながらととのいイス用に用意したコットに寝そべることにした。
すると襲ってきたんだ、あの感覚が!
何とも言えない多幸感から自然と笑みがこぼれる。
周りからすると、冬に海パン一丁でニヤニヤしながら寝ている男がいるっていう通報されてもおかしくない状況。
でもその時の俺に周りを気にする余裕はなかった。
それぐらいととのっていた。
周りは大自然で真っ青な空が広がる光景を眺めていると、やはり外気浴はロケーションが大事だなと改めて感じた。
2セット目に入るまで30分かかった
十分ととのった後、2セット目に入ろうとしたんだけど、テント内はまだぬるいまま。
サウナストーンも乾いていなかった。
もうちょい待つか・・・
薪を追加して暖まるのを待つことにしたけど、結局1セット目の状態に戻るまで30分以上かかってしまった。薪の消費量もヤバい。
2セット目も1セット目と同じ内容の繰り返しだった。
2セットで時間切れ
1セット目を初めたのが昼を回っていたので撤収の時間を考えると、そろそろ終わらないといけないということになり、片付けを開始した。冬の岐阜は日が短い。
暗くなってからの撤収はかなりダルいからそそくさとストーブから炭を取り出し、何とか暗くなる前に荷物を車に全部積み終わることができた。
設営もだったけどテントサウナは撤収にも時間がかかる。撤収の時短方法もあるが、それでも普通のキャンプの撤収よりは時間と手間がかかってしまう。
そうして自作テントサウナのデビュー戦は幕を閉じた。
実際に使ってみて感じたデメリット
どうしてロウリュ後に温度が下がってしまったのか、後から友人と話し合って反省点を洗い出した。
- 断熱性が足りない
- 冬は寒い
- 隙間風がすごい
- サウナストーンが足りない
断熱性が足りない
タープテントの生地に関しては防水性はあるけど、断熱性は全くない
長時間薪を燃やし続けても熱が逃げてしまうから60度ぐらいが限界だった。
特に冬は外気温が低いからサイドシートがどんどん熱を奪ってしまいます。
今のタープテントで銭湯サウナ並の90度以上を保つには、タープテントの生地に断熱材を貼り付けないと現実的に不可能。
そうなると費用がかさむ。
冬は寒い
当たり前のことだけど、断熱性が低いということはテント内の温度は外気温に大きく影響されるんだ。
今回自作テントサウナを決行した日の気温は10度ぐらいだった。
もう少し暖かい季節だったら結果は違っていたかもしれない。
だけど、気温が高い日は川の水の温度も上がってしまう。
このテントサウナに関して言えば、サウナの温度と水風呂の温度はトレードオフの関係にあるといえる。
断熱性能がしっかりしているテントサウナなら逆に冬にやるのがおすすめ。テントサウナは川の水温が低い冬がベストシーズンなんだ。
隙間風がすごい
足元の隙間風がヤバかった。サイドシートが地面ピッタリの長さだから、足場がゴツゴツしている河原でやるとどうしても隙間ができてしまうんだ。
そこから冷気が入ってきて、多分足元は20度もなかったと思う。
これに関しては布を縫い付けてサイドシートのスカート部分を製作すれば、何とかなる可能性が高い。
サウナストーンが足りない
サウナストーンが多い方が蓄えられる熱の量が増えるから、サウナ自体の室温も熱くなる。
さらにロウリュで発生する蒸気の量も増えることが考えられる。ロウリュをするのにサウナストーンが多いに越したことはないだろう。
そういえば、いいサウナ施設はストーンの量が多い気がする。
どこにサウナストーンを増設するか考えた結果、ストーブの両サイド部分、写真の赤い部分がいいのではないかと考えた。
この辺に足を近づけると結構熱かった。
ということはこの部分からかなり輻射熱が発生しているということ。これを有効利用しない手はない。ここにサウナストーンがあれば、かなり熱くなるはず。
実はこれ、記事執筆時点で既に実証済みなんだ。ストーブを金属のメッシュシートで囲ってサウナストーンを敷き詰めた。
現在のストーブがこうなっている。
我ながらかなり迫力のある見た目になっている笑
めちゃくちゃ有効だった。ストーブの横に敷き詰めてあるサウナストーンでロウリュすることも可能。
テントサウナでサウナストーンを山盛りにする方法は以下の記事で解説しているので、よかったら読んでみてほしい。
【自作テントサウナ】ホンマ製作所の薪ストーブで無限ロウリュする方法【改造】
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どこまでクオリティを求めるか
寒い時期だったこともあるが、ロウリュが上手く機能しないのは大誤算だった。でも既製品に比べたらかなり低コストだから贅沢を言ってはいけない。
サウナ自体もアツアツにはならないから、熱いサウナが好みのサウナーには不向きといえる。
このテントサウナには改良の余地がまだまだある。断熱性などを求めるとまだまだお金がかかるんだけど、自分でサウナを作り上げていくには楽しい。
そこに楽しみを感じられないと思う人で、お金に余裕があるなら、大人しく既製品を買った方が無難。
【やめとけ】テントサウナの自作をおすすめしない理由5つ
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やってみないことには分からない
ただ、俺がここでいくら叫ぼうと、
実際にやってみないと自分が満足できるかはわからない。
低予算で一度トライしてみて、「もっと熱くないとダメ」ってなったらストーブは再利用してテントだけ既製品を買うのも大いにアリな選択だと思う。
事実俺はこのテントサウナを使った後、テントのみモルジュの既製品を購入した。テントだけならメルカリで10万円以内で買える。
テントサウナには自作・既製品含めて、いろんな種類・方法がある。
この記事だけでなく、いろんな情報を参考にしてぜひあなただけのサウナを完成させてほしい。