タイへの渡航も4回目となり、定番観光地はあらかた行ってしまった。
他にやることねーかなと思って調べていたら、タイでは闘鶏が行われていてしかも賭けの対象になっているらしい。
ということで、今回は一般的な観光ガイドには載っていないタイの闘鶏を観戦してきたから、感想や入場までの流れを解説する。
タイで寺ばかり行くのに飽きた人は参考にしてほしい。

タイの闘鶏は伝統文化

そもそも闘鶏って何?って人のために説明しておくと、2羽の鶏に生死をかけて戦わせ、その勝敗を競う競技。
その歴史は古く、一説には紀元前インダス文明の時代には既に闘鶏が行われていたと言われている。
タイでは昔から勝敗で国運を占ったり、娯楽目的が闘鶏が利用されてきたらしく、今でも人気のある催しになっている。実際に俺が行った時もかなりの人数が観戦に来ていた。
ちなみに江戸時代の日本では、闘鶏で闘わせる鶏がタイから輸入されていたから、軍鶏(シャモ)の名はタイの旧国名であるシャムに由来している。
政府黙認のギャンブル

タイは日本と同じく、競馬や宝くじなど公営競技以外のギャンブルは禁止されている。
闘鶏に関しても競技自体は認められているけど、客同士で賭けをするのは本来違法っぽい。ただ、会場内では平然と賭けが行われているし、入場時に賭けに使うようのメモ帳が配布されたから、実際のところは不明。
日本のパチンコや麻雀みたいに政府の裁量で黙認されているギャンブルって認識でいいと思う。
闘鶏の開催日

俺が行ったバンコクの闘鶏場は毎月第1・3・5日曜日の10:30〜23:00に試合が行われるって情報をネット記事で手に入れた。
10年以上前の古い記事だったから信憑性は疑わしかったけど、第3日曜日の15時頃に行ったらちゃんとやっていたから多分今も同じなんだと思う。
後述するけど闘鶏場はアクセスが悪いから、行ってみたら試合がやってませんでした、となれば半日無駄になる。
タイでの滞在期間が短くて、他にもやることがある人は確実な開催情報を自力で掴んでほしい。
闘鶏場はアクセスが超悪い

闘鶏場の名前は「トゥートタイ闘鶏場」で、バンコク市街地の東側でスワンナプーム国際空港のさらに東に行った先にある。
ちょうどバンコクとサムットプラーカーンの県境にあり、厳密には闘鶏場はサムットプラーカンに属する。
周辺には駅もバス停もなくて、一応最寄り駅はタイ国鉄のKhlong Luang Phaeng駅だけど、4km以上離れているから歩くのは現実的ではない。しかも1時間に1本しかない。
つまり外国人観光客が公共交通機関だけでアクセスするのは不可能な立地。
旅行で足を傷めずに長時間歩くコツは以下の記事で解説している。
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レンタルバイクを利用

で、俺の場合はバンコク市街地にあるレンタルショップでバイクを借りてアクセスすることにした。国際免許は取得済み。
バンコク市街地から闘鶏場まではバイクで1時間ちょい。

海外の慣れない道、かつ世界一渋滞が激しいバンコクを運転するのは不安だったけど、走り出してしまえばすぐ慣れてしまって意外と大丈夫だった。ただし、すり抜けが当然の世界だから、日本でまったく運転したことがない人は厳しいと思う。

バンコクのバイクは排気量が110cc〜だから、国際免許を取得していても日本で普通免許しか所持してなかったら運転できないので注意。
社会人がバイク免許を取るべき理由は以下の記事で解説している。
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【社会人がバイクの免許を取るべき理由】選択肢は多い方がいい【旅先の足】
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場所がわかりづらい
闘鶏場はGoogleマップで「トゥートタイ闘鶏場」と検索すればヒットするんだけど、幹線道路から奥まったところにあるから、マップだけだとわかりづらい。

幹線道路から駐車場みたいな場所に入って、舗装されていない道を何度か曲がりながら数分走ると会場が見えてくる。
途中で不安になるかもしれないけど、突き進んでほしい。俺も事前情報がなかったらたどり着けなかったと思う。
ARL最寄り駅からタクシーが無難
レンタルバイクやレンタカーが難しい人はARLのLat Krabang駅からタクシーに乗れば20分で行ける。

この方法が最も安全かつ安価な移動手段だと思う。運行本数も10〜15分間隔だから不便はない。
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入場から観戦の流れ

闘鶏場に着いたらまず受付をする。
入場料は200THB(2025年10月時点)。
支払ったらペンと番号の書かれたメモ帳を渡されて、番号が一緒に写るように顔写真を撮影される。まるで囚人の入所手続きみたいな感じ。
撮影が終わったら、鉄格子の扉が開いて入場させてもらえる。マジで刑務所みたい。おそらくギャンブル場の側面があるからセキュリティが厳しめなんだと思う。
メモ帳とペンは賭博用
渡されたメモ帳が以下で、この裏に番号が書いてあるんだけど

番号は個人に割り振られたIDで、この番号で賭けごとの管理をする。
賭け金の踏み倒しなんかが起こったら、このIDを使って個人を特定する仕組み。だからメモ帳を他人と交換するのは絶対NG。
現地民はこのメモ帳に賭けのやりとりを詳細に記載していた。メモ帳は退場時に回収されるから失くさないように注意。
メインスタジアムとサブスタジアム
入場すると目の前にひときわ目立つ大きめのメインスタジアムがあって、

その周りに小さめのサブスタジアム3〜4個ある。

メインスタジアムには中に入れる入口が周囲にいくつかあるから、見つけた入口から自由に出入りできる。
ただ、前の方の席は賭けに興じている常連や軍鶏のオーナー団体が熱狂しているから、外国人は後ろの方が落ち着いて観戦できると思う。
試合時間が長い

闘鶏は1試合20分とそれなりに時間がかかる。
闘鶏は判定による勝敗がつけづらいから、明らかに戦意喪失とみなされるまで延々と試合が続く。
大きい大会だと1ラウンド20分を5回やって、それぞれのラウンド間にも20分の休憩を挟むらしく、超長期戦になる。
ムエタイだと1ラウンド3分って考えると、闘鶏は見る側の持久力と忍耐が試される。もちろん鶏はもっと大変。
試合風景は基本的に地味

多分ほとんどの人は、最初こそ初めてみる鶏VS鶏の喧嘩に新鮮な目を向けているんだけど、2〜3分もすれば飽きてくる。
というのも、人間の格闘技と違って鶏の攻撃ってなんだんかんだ単調なんだ。攻撃パターンはクチバシでつつくか、足を蹴り上げるの2択。
基本的にはこの攻防が20分間続くから、けっこうヒマ。もちろん鶏が1発でK.Oされることはないし、その個体特有の必殺技があるわけでもない。
俺も最初こそ前方で観ていたけど、ある程度写真を撮ったら5分ぐらいで後ろの席に下がった。
勝敗がつかない試合も多い

20分鶏同士がしばき合って結局勝敗が決しない試合も多かった。
何度か相手の攻撃で転けるシーンもあったけど、鶏は何度でも立ち上がる。動ける以上は闘う、それが軍鶏という動物の性なのか。
YouTubeで観た闘鶏の試合は、一方の鶏が明らかに戦意喪失して座ったまま立ち上がらなくなっていたけど、そんなキレイな決着は珍しいのかもしれない。次行くことがあれば決着が着く瞬間を観てみたい。
スタジアムの雰囲気は賭場そのもの

試合中は前列に陣取っているタイ人がとにかく熱狂している。
おそらく大金を賭けているんだろうけど、鶏がなにかアクションする度、一斉に歓声が上がる。タイ語だからそれがヤジなのか罵声なのか、はたまた怒号なのかはわからない。でも試合中はずっと歓声が上がっている。
日本のボートレース場や競馬場も雰囲気的には同じだけど、熱狂の度合いが違う。初めて行く人は雰囲気に圧倒されると思う。ボートレース場と違って歯がないおじさんはいなかった。
客も鶏主も超真剣

一際声のあがっている客や鶏主陣営に目をやると、みんな超真剣な表情をしていることに気づく。
たまに金を持ちながら笑っている人もいるけど、ほとんどの人はしかめっ面でひたすら鶏に対して何か大声で叫んでいる。
まさ鬼気迫る表情って感じの顔。俺みたいに観光目的で訪れた外国人とは明らかに温度差がある。
勝てば大金が入るシステム

それもそのはずで、闘鶏では莫大な金が動くんだ。
入場してすぐの場所に対戦カードが提示されたホワイトボードがあるんだけど

よく見たら各対戦カードの右側に「110万」とか「66万」って書かれている。これは賞金額を示していて、単位はタイバーツだから、現在レートに換算すると110万バーツは545万円ということになる。
これはとんでもない額で、タイの平均年収(200万円)や物価水準を考えると、実質的な価値は日本でいうと約5,000万円。
鶏同士の喧嘩で、人生が変わる金が転がり込んでくるってなれば、真剣な顔で鶏に大声を上げるのもわかる。
外国人が賭けるのは難しい

一方で周りで賭けに興じている人たちも同じように真剣なのは、彼らもそれなりの金額をベットしているからなんだ。
調べた情報だけど、闘鶏に賭けられる額は数万THB〜で、数十万THB賭けている人も少なくないんだとか。日本円にして5〜50万円ぐらい。
日本の公営競技だと100円から賭けられて、大半の人が数千円〜数万円程度の賭けで楽しんでいることを考えると、その金額規模の大きさがわかる。タイは貧富の格差がすごいけど、闘鶏場には多分タイの大富豪が集結している。
場内で飲食可能

闘鶏観戦に飽きたら飯でも食うかってなるところだけど、トゥートタイ闘鶏場にはちゃんとご飯を食べる場所がある。
場所はメインスタジアムの裏側、青空フードコートみたいな区画へ続く通路がある。

そこではタイ料理定番のカオマンガイやガパオライス、フルーツジュースなどが売られている。店の前に椅子とテーブルが並べられているから、自由に使ってOK。
現金を食券に交換する
フードコートでご飯を食べるには、まずクーポンカウンターへ行き

現金を食券みたいな紙に交換する必要がある。交換した食券は

こんな感じで金額が書いてある。50っていうのは50THBのこと。
俺が食べたカオマンガイは70THBだったから街の屋台やフードコートよりは高めの値段設定なんだと思う。
クレジットカードには対応していないから現金必須。ATMも場内にはない。といっても1食だけなら100THBあれば足りると思う。
あまった食券は最初に交換したクーポンカウンターへ行けば現金に戻してくれる。
俺は海外の旅行の時はいつも楽天カードでキャッシングして即返済している。楽天カードの海外キャッシング返済方法は以下の記事で解説している。
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軍鶏は食べられないっぽい

せっかく闘鶏を見に行くんだから、新鮮な軍鶏肉が食べられるんじゃないかと期待していたんだけど軍鶏料理の店はなかった。
というかタイでは闘鶏に使った軍鶏は食べないっぽい。
負けた軍鶏は二度と闘えないから、フィリピンではその場で捌いて食べるのが風習になっているけど、タイでは種馬ならぬ種鶏として利用されるみたい。
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闘鶏場へ行く際の持ち物と注意点

闘鶏を観に行った際に必要だと思った持ち物は以下。
・現金500THB以上
・パスポート
・ティッシュ
闘鶏場へ行く時は基本的に現金500THBほどと、念の為パスポートを持参してほしい。
入場時にパスポートを提示する必要はなかったんだけど、グレーな賭博場であることに変わりないから身分を証明できるものは携帯しておいた方が身のため。
あとタイはどこでもそうだけど、闘鶏場のトイレには紙がないからティッシュは常に持って行かないと手で拭くハメになる。
闘鶏場のトイレは隅っこにあってすこし分かりずらいけど、

一応案内があるから注意深く見ていれば見つかると思う。
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観光する雰囲気ではない

何度も書くけど、タイの闘鶏場は日本でいうボートレース場みたいなもの。
日本に旅行に来てボートレース場を観光する外国人はまずいないのと同じで、闘鶏場に外国人はまったくいないし、観光客を受け入れるような体制は整っていない。
入場時の受付では英語が通じないし、英語の案内もない。
闘鶏場にいるタイ人は試合に夢中だから、紛れ込んでいる外国人を気に留めることはないけど、かといって歓迎しているわけではないから、親切にされるようなこともない。
闘鶏を観に来た他のタイ人と同じように扱われるだけ。
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観光ガイドには載らない文化

ただ個人的には観光地化されていない場所ほど、リアルな現地人の振る舞いが見れて面白いと思う。
有名な観光地では観光客向けにフレンドリーに接してくれるタイ人が多いけど、闘鶏に来ているタイ人の中には無愛想だったり、ずっとキレ気味な人がいたりする。
また比較的大人しめなイメージのタイ人が、スタジアムでめちゃくちゃ熱狂している姿は、他では見られないタイの裏側。
タイの裏文化が知れる

寺や旧市街などの観光地がタイの見せたい表の顔なら、闘鶏はその逆でタイが見せたくない裏の顔ということになる。
正直闘鶏は写真映えする派手な演出や美味しいご飯はないから、タイに来るのが1〜2回目の短期滞在者にはあまりおすすめしない。
ただ、何度もタイに来ている人や長期滞在中にやることがなくなった人、そもそも寺に興味がない俺みたいな人には、変わり種の観光地として超おすすめ。
アクセスや場内の雰囲気的に少しハードルが高いけど、B級スポット好きはぜひ訪れてみてほしい。
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