1泊2日テント泊で劔岳へ登山をすることになり、テント泊用の大容量ザックを探していたら、ビジョンピークスの「スカイ60」という格安ザックを見つけて購入した。
これが思った以上に優れたザックだったんだけど、レビュー記事が全く見当たらない。
これでは評判がわからないということで、今回俺に代表して解説させてほしい。
安い大容量の登山ザックを探している人は参考にしてほしい。
槍ヶ岳登山に使った装備の解説は以下。
続きを見る【2泊3日テント泊】槍ヶ岳・大キレット縦走登山に持って行った物【装備】
今まで使っていたのはテルス35
俺が今まで使っていたザックはザ・ノースフェイスの「テルス35」という38Lのザック。
何で商品名が「35」なのかは謎だが、お手頃な価格とサイズ感で気に入っている。
登山だけでなく遠出の旅行にもよく使っていて、飛行機の手荷物として持ち込めるサイズなのが嬉しい。いい意味でガチ感が少ないザックなんだ。
テルス35は日帰り登山であればかなり優秀なザックではあるんだけど、テント泊登山に38Lザックでは完全に容量不足。
この容量で1泊2日の山行は俺には不可能。
テントと寝袋でパンパンになるだろう。今回これは使えない。
テント泊には60L以上のザックが必要
様々な登山有識者の解説記事を調べてみると、どうやらテント泊には最低でも60l以上のザックが必要らしい。
当然、荷物の増える冬の登山はさらに容量が必要とのこと。
幸いにも今回登るのは8月下旬。まぎれもなく夏だ。セミの鳴き声に安心したところで、安い60Lザックを探しまくった。
ネットが使える時代に生きててよかった。
出会ったのはスカイ60でした
ハイコスパな60Lザックを探す中で、目に止まったのがスカイ60だった。
俺がこのザックを選んだ理由は言うまでもなく価格だ。
記事執筆時点、楽天で6,990円だった。登山する人には分かると思うけど、価格破壊もいいところだ。
安すぎる値段に一瞬ためらって、レビュー記事を調べたけど全然検索でヒットしない。
何でだ・・・登山家はコスパを求めない金持ちばかりなのか?
「まぁ、買って失敗してもこの値段ならいいか」ということで、2分迷ったけどポチった。
ビジョンピークスはヒマラヤのPB
スカイ60は「VISION PEAKS(ビジョンピークス)」ていうブランドの商品。
このブランド、実はあの大手スポーツ用品店「ヒマラヤスポーツ」のプライベートブランドなんだ。
ブランドコンセプトは「全ての人にOUTDOOR LIFEを」ということらしい。
うん、ブロガーとは正反対の言葉だ。
ビジョンピークスを知らなくてもヒマラヤスポーツを知っているって人は多い。
俺は以前、キャンプ用品でビジョンピークスにお世話になっていたので安心感があり、迷わずスカイ60を買うことができた。
最低限の機能を備えた優等生
値段が安いから機能性を心配するかもしれないけど、登山ザックに必要な機能はほとんど備えているから安心してほしい。主な機能は以下。
- ロゴが無いシンプルなデザイン
- 雨蓋の収納が大きい
- 前面から荷室にアクセス可能
- ヒップベルトの左右にポケット
- ペットボトルが入るサイトポケット
- 底に大容量のポケット
写真付きで解説していく。
ロゴがないシンプルなデザイン
こういうプライベートブランドの安い商品ってザックに限らず、ロゴがあると一気にダサくなるケースが多い。
ザ・ノースフェイスみたいなおしゃれブランドだとロゴがあることでおしゃれに見えたりするけど、正直ビジョンピークスにそんなこと求めてない。
引用元:ヒマラヤスポーツ
その辺をメーカーもちゃんと理解しているらしく、スカイ60には全くもってロゴが見当たらない。
外観を隅々まで探しても見当たらなかった。ここまで主張がないと逆に不安になる。
だが我々ユーザーにとってロゴはなくていい、いやないほうがいい。
ちなみにカラーは2色あってこれはカーキ。あとブラックがある。
雨蓋の収納が大きい
雨蓋の収納は他のザックでもだいたいある機能。スカイ60もちゃんとある。しかも大きい。
この部分が開く。
雨蓋の収納はアクセスしやすいので、携行食やエマージェンシーキット(救急道具)を入れておくのに適している。かなり容量があるので、剣岳登山の際2日分の携行食は余裕で入った。
けっこう大きく開くから、中身の落下には気をつけないといけないけど、中をまさぐるのには便利。
前面から荷室にアクセス可能
荷室へのアクセスって「ヒップベルトを外す」、「ザックを下ろす」、「雨蓋を開ける」ってたくさん手順を踏まないといけないから休憩の度にやるのがかなりめんどくさい。
だけどスカイ60はその辺の利便性も考えられていて、前面のU字になっているチャックを開けると荷室にダイレクトでアクセス可能なんだ。
これが長い山行で地味に役立つ。
剣岳の早月尾根ルートは水場が無いから6Lの水を運んだわけだけど、この機能が地味に役立った。
ボトルの水を飲み干す度に、ザックの中に収納してある大きい容器から水をボトルへ移し替える作業が発生するんだけど、雨蓋を開けずにザックの中身へアクセスできたおかげでかなり素早く作業できた。
場合によってはザックを下ろさずに、パーティーのメンバーに中身を取り出してもらうこともできる。
ヒップベルトの左右にポケット
ヒップベルトのポケットは大半の登山ザックに付属している。
ここを開けると
こんな感じになっている。防水にはなっていないから電子機器は入れられない。ちなみにスマホが入る大きさではない。
ペットボトルが入るサイドポケット
サイドポケットの有無も大事な機能だ。ここに飲み物を収納して持ち運ぶ人が多いと思う。
当然サイドポケットございますので、ご安心を。
必要な機能はちゃんとある。
もちろん反対側にもある。
ここにペットボトルなんかを入れて素早く取り出し、水分補給しよう。
底に大容量のポケット
底にポケットがあるザックって俺は初めてだったんだけど、容量の大きいザックだと割とあるらしい。
ここを開けてみる。
こんな風にメイン荷室の次に大きい収納スペースが現れる。
実はこのスペースとメイン荷室は巾着みたいな構造で仕切られている。
公式の写真が以下。
引用元:ヒマラヤスポーツ
メイン荷室から見ると
こんな感じ。
つまり底のチャックからも荷室へアクセス可能ってこと。
前面のU字チャックからアクセスできるから、この構造は必要ない。
ちなみにこの底のスペースに荷物を詰めすぎるとメイン荷室を圧迫するから、実質1つの荷室を仕切ってるだけって感じ。容量が増えているわけではない。
俺はパッキングの際、底に軽い物を入れたいから、ダウン・エアマット・レインジャケットを入れていた。
底に軽い物を集めるとザックが軽く感じるらしい。登山家を自称するYouTuberが言っていた。効果があったかは分からない。
俺は人の意見を受け入れるタイプの人間だ。
【ここがダメ】スカイ60の欠点
ここまで書くと、デザイン・価格・機能を備えた超優等生に見えるんだけど、残念ながら欠点がある。
安いからあまり文句を言ってはいけないけど、言いたくなるのが人の性だ。俺は包み隠さず全て書き記す。
欠点① レインカバーが付属しない
テルス35はレインカバーが本体に無料で付属していたが、スカイ60には付属しない。登山当日までに自分で容易しないといけない。
ザック本体を安く揃えるなら「レインカバーも安いのがいい。」ってことでネットで探したけど、安いレインカバーってサイズ表記が大雑把だから実際に使えるのか不安になる。
こういう不安を抱えるから、ザック購入時にメーカーがちゃんとフィットするレインカバーを付属してくれると助かるんだ。
今回俺は、おそるおそる購入したレインカバーがちゃんと使えたから、剱岳で雨に降られたけど中身が濡れずに済んだ。
購入したレインカバーがこれ。
安いのに収納ケースも付いていて、手の平に乗るぐらいコンパクトになってくれる優れもの。
サイズが選べるんだけど、スカイ60にぴったりのサイズはXL。リンクを貼っておくからよかったら検討してみてほしい。
ネーベル34はレインカバー付き
同じビジョンピークスが発売している34Lサイズの「ネーベル34」という商品がある。これは容量以外の機能がスカイ60と変わらず、スカイ60より2000円も安い上にレインカバーが付属する。
ビジョンピークスはレインカバー作ってたのかよ。
だったらスカイ60を1,000円値上げしてもいいから、レインカバーを付けてほしかった・・・
とはいえ、日帰り登山しかしない人には圧倒的にネーベル34がおすすめ。
欠点② ヒップベルトのポケットが小さい
ヒップベルトのポケットに携行食を入れる人もいると思うけど、スカイ60の場合カロリーメイト3本ぐらいしか入らない。
そして3本いれるとパンパンになって中身が砕ける。
俺はここに日焼け止めを入れていたんだけど、
これ1本でかなりパツパツだ。この収納にはあまり期待しない方がいい。
俺は登山では1時間おきに塗り直すぐらい頻繁に日焼け止めを使うから、日焼け止めが入ってくれれば十分。
欠点③ 雨蓋がズレる
どういうことかっていうと、スカイ60は雨蓋の高さが調節できるようになっているんだけど、そのおかげで雨蓋が本体と分離しているんだ。
分離しているせいで、雨蓋が意図せずズレることがある。
調節できると何がいいかっていうと、ザックに荷物を限界まで入れた時に、雨蓋の収納スペースを圧迫しないように調節できるんだ。
だけど、これがあるせいで背面のフックを持つと分離した雨蓋が大きくずり落ちてしまうって事態が発生する。
普通に登っている時にズレることはなかったから、背面のフックはトイレの個室に入ってドアに掛ける時以外は使わないようにしよう。
スカイ60で劔岳に登った感想
冒頭にも書いた通り、俺はこの格安ザック「スカイ60」で劔岳に登り、無事に登頂し下山することができた。
水を大量に持っていったからザックの重さは20キロになっていたけどザックが壊れたり、山行に支障をきたすことはなかった。
テルス35と比べて特別疲れやすかったってことも全くなかった。
ただし、一応剱岳の前にスカイ60で日帰り登山をして、ちゃんと体に合うかは確認していった。
これからスカイ60を購入して本格的な登山をする人は、事前に街中でもいいから実際に背負って歩いてみるのをおすすめする。
当然かもしれないけど、土日に登ったから何人も登山者とすれ違ったのに1人として同じザックの人はいなかった。
60L以上の容量はマジで必要だった
実際にテント泊登山をしてみて、本当に60L以上容量が必要だと感じた。
最初は半信半疑で「そんな荷物なくね?」と思ったんだけど、事前に持ち物を調べれば調べるほど想像以上に荷物が増えていく。
特に今回、6Lの水に加えて食材も運んだので、60Lの容量をフルで使うことになった。
結局持っていった荷物全てがしっかり活躍してくれたから、本当にスカイ60を買ってよかったと感じた。
頻繁にテント泊登山しない人におすすめ
俺は登山用品のブランドにはこだわりがなくて、使えりゃいいやん!ってスタンス。だから基本的にはコスパ重視で登山ギアを選ぶ。
登山ガチ勢の中には「登山用品をケチってケガしたらどうするんだ。」とか「初心者こそ良いやつ買え。」って言う人もいるけど、それももちろんわかる。
ただ、スカイ60を製作しているビジョンピークスはヒマラヤのプライベートブランドだから、いわゆるゴミ製品じゃないってことはある程度保証されているんだ。
確かに有名ブランドの商品に比べると機能面で劣る部分もあるけど、それ以上に価格が魅力的。登山界のユニクロやしまむらみたいなモンだと思っていい。
俺は旅行用としては機内持込可能なテルス35を今後も使うけど、登山ザックとしてはスカイ60に完全に乗り換えてしまった。
壊れるまでは使い続ける予定。
「友達に登山に誘われてとりあえず1回だけ。」とか、「登山してみたいけどまだハマるかわからないからお金をかけたくない。」って人にはマジでおすすめ。
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